ドライアイは、眼科医の中でも様々な考え方の変遷を経て、「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。」という現在の考え方に落ち着いています。
下図のように、角結膜の最表層にはムチンという糖タンパクが発現していて、これが涙液水分と眼表面を繋ぎ合わせています。その上に瞼の縁の脂の分泌腺から分泌された油分がコーティングされていて涙の蒸発を防いでいます。
ドライアイは、後述するリスクファクターが、涙液層の安定性を低下させ、涙液と眼表面の良好な関係が崩れて、眼表面の上皮が傷つく。傷つけばムチンが供給されなくなって、さらに涙液層の安定性が低下するという悪循環が生じます。

ドライアイの診断には、角膜表面の涙液をフルオレセインという蛍光色素で染色して、瞬きの後の蛍光色素の壊れ方を見ていきます。この涙液層の壊れ方で、ドライアイのタイプを見極めていき（下写真）、目に何が不足しているのかを考えて、治療を提案していきます。
具体的には、涙点プラグの挿入、ジクアホソルナトリウム点眼、レバミピド点眼、ヒアルロン酸ナトリウム点眼、人工涙液の点眼などを下記のパターンから不足成分を見極めて、いわば涙液層別に診断・治療をしていく方式を取っています。